天敵弁護士は臆病なかりそめ妻を愛し尽くす
これまでは彼の強引さに振り回されることの方が多く、本当の彼について深く考えたことがなかった。
今までよりも近くにいることでそれを顕著に感じるようになったのだ。
「そうやって君は――」
壱生の話を遮るようにノックの音が響いた。彼が返事をすると前菜が運ばれてくる。
「せっかくだから食べよう」
「はい。でもさっき何か言いかけてませんでしたか?」
「いや、いい。また今度で」
いつになく歯切れの悪い壱生を不思議に思ったが、目の前にだされた色とりどりの料理を食べる方を優先させた。
ピッピも足元で美味しそうに特製ハンバーグを夢中になって食べていた。
その様子を見つめる壱生の愛情に満ちた顔を見て、小さく胸が音を立てた。
キスしたり抱きしめられたりしたときとは違う。苦しくなるような胸の高鳴りではないけれど、くすぐったくてあったかくなるような胸の疼き。
これまでどんな人にも感じたことのない気持ちを、壱生について抱いている。
私、壱生さんのこと……好きなのかもしれない。
絶対好きにならないなんて啖呵を切っていたのに、ひと月も経たないうちに彼が胸の中に住み着いて離れなくなってしまった。
これまで彼に恋する人の気持ちがわからなかった。けれど今となってはその気持ちが良くわかる。
「どうした? 口に合わない?」
「いえ、とても美味しいです」
「ならよかった。初デートの思い出は俺がもらったな」
「まだ言ってたんですか?」
上書きすると言っていたけれど、まさか本気だったのだろうか。
「もちろん、本気だ。俺は君と結婚する気でいるからな」
彼の言葉を聞いて、ここで一度きちんと話をしておいたほうがいいと思いナイフとフォークを置いて姿勢を正した。
「その話本気なんですよね?」
「ああ、もちろん。君ができることなんでもするって言ったんだろう? ご両親も俺たちの結婚の意志を聞いてすごく喜んでいた。今さら嫌だなんて言わせない」
「話をしたんですか? 両親に?」
「ああ、当たり前だろう。証人の欄に記入してもらった」
純菜がドッグランにいたときに、トラブルの話だけでなく結婚の話までしていたとは驚いた。
どんどん外堀が埋められている気がする。
「これでやっと、面倒なトラブルから解放される」
その言葉を聞いてさっきまでときめいていた気持ちが、スーッと冷めていくのを感じた。
今までよりも近くにいることでそれを顕著に感じるようになったのだ。
「そうやって君は――」
壱生の話を遮るようにノックの音が響いた。彼が返事をすると前菜が運ばれてくる。
「せっかくだから食べよう」
「はい。でもさっき何か言いかけてませんでしたか?」
「いや、いい。また今度で」
いつになく歯切れの悪い壱生を不思議に思ったが、目の前にだされた色とりどりの料理を食べる方を優先させた。
ピッピも足元で美味しそうに特製ハンバーグを夢中になって食べていた。
その様子を見つめる壱生の愛情に満ちた顔を見て、小さく胸が音を立てた。
キスしたり抱きしめられたりしたときとは違う。苦しくなるような胸の高鳴りではないけれど、くすぐったくてあったかくなるような胸の疼き。
これまでどんな人にも感じたことのない気持ちを、壱生について抱いている。
私、壱生さんのこと……好きなのかもしれない。
絶対好きにならないなんて啖呵を切っていたのに、ひと月も経たないうちに彼が胸の中に住み着いて離れなくなってしまった。
これまで彼に恋する人の気持ちがわからなかった。けれど今となってはその気持ちが良くわかる。
「どうした? 口に合わない?」
「いえ、とても美味しいです」
「ならよかった。初デートの思い出は俺がもらったな」
「まだ言ってたんですか?」
上書きすると言っていたけれど、まさか本気だったのだろうか。
「もちろん、本気だ。俺は君と結婚する気でいるからな」
彼の言葉を聞いて、ここで一度きちんと話をしておいたほうがいいと思いナイフとフォークを置いて姿勢を正した。
「その話本気なんですよね?」
「ああ、もちろん。君ができることなんでもするって言ったんだろう? ご両親も俺たちの結婚の意志を聞いてすごく喜んでいた。今さら嫌だなんて言わせない」
「話をしたんですか? 両親に?」
「ああ、当たり前だろう。証人の欄に記入してもらった」
純菜がドッグランにいたときに、トラブルの話だけでなく結婚の話までしていたとは驚いた。
どんどん外堀が埋められている気がする。
「これでやっと、面倒なトラブルから解放される」
その言葉を聞いてさっきまでときめいていた気持ちが、スーッと冷めていくのを感じた。