禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
東藤から言われる『可愛い』はまったく嬉しくないけど、九條さんから言われると、すごく嬉しくて、ついドキドキしてしまう。
ううっ。顔が赤くなっていたりして、東藤に見られたらいけない。
私はとっさに両手で頬を隠した。
だけど、私が恥ずかしがっているのが九條さんにはバレていたみたいだ。
彼は甘い垂れ目をさらに柔和にさせてから、「こちら奥様へ。引越しのご挨拶です」と高級そうな黒い箱を手渡してきた。

「ありがとうございます」
「ぜひ開けてみてください」
「はい」

光沢のあるアイスグレーのリボンを解く。箱の中から出てきたのは、プリザーブドフラワーのアレンジメントだった。深い青色と紫で彩られた薔薇は神秘的で美しい。
なんだか九條さんの瞳のグラデーションにも似ていて、その綺麗さに惹きつけられる。お花とは無縁の生活を送っていたので、ちょっとだけ胸が踊った。
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