魔王様の花
渡されたメッセージカードとともに、部屋を追い出される。――終わった。先生に頼まれた書類を届けに行った、それだけのはずなのに。


机の上にあった神秘的な青い雫のピアスが視界に入ったのが、そもそもいけなかった。


惹かれて手に取った瞬間、タイミングよく扉がガチャリと開く。 

そして床に落として……後はご想像の通り。


「先輩……神出鬼没すぎだよっもう!」


腕のいい職人が作った世界にひとつしかないオーダーメイドの品だとか、さんざん嫌味を言われてしまった始末だ。


いつまでもカリカリしててもしょうがないので、とりあえずメッセージカードを見る。



「あれ? ここって――」



学園では有名のあの場所、だ。


一体どうして?

なぜ?


色んな疑問が浮かんでは消えるが、その疑問は明日にしかわからないだろう。


もう、部屋の扉は開かない。すでに中から鍵をかけられている。


仕方なく来た道を引き返す。もうなるようにしかならない、と腹をくくって。


心の中で別れを告げたはずだった神様に、帰り道ひたすら謝ったのは言うまでもない。

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