男達が彼女を離さない理由
男3
 ここのところ彼女と会う頻度が落ちた。彼女がカフェに来ない。折角2人の距離が縮まる機会を得たのに、会えないせいであれから進展していない。次に会った時のために何か策を練っておかないと。
 彼女が居ないカフェでは手持無沙汰で時間を潰すのに苦労してしまう。彼女に会う前は独りでどうやって過ごしていたのか思い出せない。
 と、そこへ彼女が来た。後ろに男が立っている。あーまた違う男だぞー。今日の男は明らかに彼女より若い。あれも8人のうちの1人なのだろうか。
 2人して笑い転げている。楽しそうで良いな。あの中に俺も加わりたい。無理だけど。
 今まで3人の男達を見たが、3人とも男前だなぁ。ハンサムとかイケメンの範疇ではない「男前」の部類。彼女と一緒に居る俺はどう評価されるんだろう。俺は男前と言えるんだろうか。自信は無い。
「そろそろ行く?」
 コーヒーを飲み干した手をそのままに男が彼女に言うと、そうねと短く彼女は応え、ニコニコしながら店を出て行った。彼女の家とは反対の方向だ。駅に向かうのかな。この時間からどこに行くんだろう。
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