魔法の恋の行方・シリーズ6・魔女の初恋(レリアとサリナス)
「レリア、油、売っていないで、
マギーが呼んでるぞ、早く行け」
店主がレリアに声をかけた。
「あーー、婆ちゃんかぁ。
だめだ、こりゃ」
レリアが、ほっぺたを膨らませた。
「・・・?」
サリナスは首をかしげた。
「ごめんなさいっ!
婆ちゃん、ものすごくコワイから。
じゃぁ、明日、また」
レリアは、すっ飛んで店の奥に
消えた。
「お客様、申し訳ないです。
レリアがうるさくして」
店主が謝罪しながら、皿を下げた。
「いや、とても楽しかった・・」
サリナスは、ナプキンで口を拭いた。
「お客様、宿泊代の釣銭ができましたので・・」
「明日、レリアにこの辺を
案内してもらうので、
その手間賃として、受け取って
くれ」
サリナスが、横に手を振った。
「あの、それでも、多すぎるかと・・」
店主が口ごもると
「食事もワインも良かったし、
気にすることはない」
つい、<レリアに助けてもらったし>と言いそうだったが、
ぐっと飲みこんだ。
「ありがとうございます。」
店主が、深く頭を下げた。