君はブルー【完】
ワインを一気に飲み干したところで、優くんが戻ってきた。
「ごめん春、思ったより長くかかった」
「んーん、全然いいの」
優くんに、動揺を悟らせてはいけない。家守さんのことがばれてはいけない。
笑顔で首を振ったけど、それとは別にスマホを裏向きに置いた優くんに少しだけ気持ちが曇った。
「春、今日綺麗だね」
「えー、はりきってオシャレしたもん」
急に褒める。
なんかを隠すみたいに。後ろめたいことがあるみたいじゃん。
ちょっと泣きたくなった。
「青いワンピース、似合ってる」
「うん、優くんが買ってくれたやつだよ」
優くんが好きな青。
好きな人の好みの色の服を着る。
優くんは青。
耳朶にぶらさげたピアスに触れ、優くんに媚びることに必死な自分に気付いてもっと泣きたくなった。
「ピアスもほら、ワンピースにそろえて優くんが好きな青にしたの」
「ん、可愛い」
ピンクが似合う私。青が好きな優くん。好きな人の好きな人であり続けたい。
クローゼットの奥、隠すようにしまいこんだ、家守さんがくれた桜のピアスは二度とつけることはない。