9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
それについては、いずれ尋問官に言及される心構えをしていた。

とはいえ、こんな早々にエヴァン自ら問い詰めてくるとは思っていなかった。

彼にとって、セシリアの不貞の相手など、どうでもいいだろうと踏んでいたからだ。

何も答えずにただひたすらエヴァンを見つめていると、彼が苛立ったようになまじりを吊り上げる。

「だんまりを決め込む気か。どこのどいつだ? どうやって知り合った?」 

(彼のことは、絶対に漏らさないわ)

自分の都合で赤の他人を巻き込んだのだから、責任は負わせられない。

セシリアは徹底的に木こりの彼を守る心づもりでいた。

そもそもセシリア自身、名前はおろか、酔っていたため顔すら分からないのだが。

覚えているのは、あの男らしい深みのある声と、魅力的な空色の瞳だけだ。

「それは申せません」

目に強い意志を込めて答えると、彼の表情に殺気が宿った。

だがセシリアは怯まなかった。
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