9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「邪魔だ、俺から離れろ。俺は今、彼女と話をしている」

「ですが――」

「邪魔だと言ったんだ」

有無を言わせぬ口調で制され、マーガレットが不服そうに口をつぐむ。

それからマーガレットは、しぶしぶといった風にエヴァンから距離を取り、最高司祭の隣に並んだ。

エヴァンの鋭い瞳が、再びセシリアを射貫く。

「その男を特別に思っているのか?」

(え、まだその話の続きをするの?)

いったん会話が途切れたため、それについては忘れてくれたと思っていたが、違ったらしい。

「……」

「目上の者が問いかけているんだ。答えろ」

(どうしてこんなにしつこいのかしら)

これまでのループ人生、さんざんセシリアを蔑ろにしてきた彼だ。

マーガレットをはじめとした愛人ばかりにかまけて、セシリアには、結婚後も指一本触れようとすらしなかった。

セシリアが誰に抱かれようが、誰を特別に思おうが、どうでもいいはずなのに。
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