9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「ですが、セシリアは我が国の聖女です! 聖女を他国に嫁がせるなど、聞いたことがありません!」
するとエンヤード王が、ピシャリと言い放った。
「いや、もう聖女ではない。新しい聖女はすでに現れたと報告を受けている」
エヴァンが、ぐっと言葉を吞み込んだ。
それから痣の消えたセシリアの手首に視線を移し、唇を噛みしめる。
そんなエヴァンに、エンヤード王が咎めるような視線を向けた。
「そもそもお前は、セシリアを見るからに嫌っていただろう。一緒にいるところなど見たことがないし、夜会にも別の令嬢を連れていたではないか。いくら聖女といえども、相性が悪くては、この先どうなるものかと私はずっと懸念していたのだ」
「それは――――」
エヴァンは何かを言いかけたが、そこでぐっと口を閉ざした。
紛れもない事実であり、返す言葉を失ったのだろう。
「王妃なら問題だったが、まだ婚姻前の身。王族の婚約破棄などままある話だ。とにかく我が国にとってこれほど好条件の話はない。デズモンド殿、セシリアを貴殿に授けよう。彼女の実家には、私の方から伝えておくゆえ、早々に用意をいたせ」
「ありがたきお言葉でございます。約束通り、後ほど我が国より、友好条約調印の流れを伝える者を派遣いたしましょう」
デズモンドはエンヤード王に向かって深々と頭を下げると、立ち上がり、セシリアに向けて手を差し出す。
「俺と一緒に来てくれるか?」
彼の正体があの悪名高き皇帝デズモンドだと知った今、セシリアは躊躇った。
ちらりとエヴァンを見やれば、見たこともないほど青ざめた顔で立ち尽くしている。
彼がセシリアを失ってショックを受けるはずがないので、突然の展開に動揺しているのだろう。
もしくは、悪名高き皇太子であるデズモンドを目の前にして、怯んでいるか。
するとエンヤード王が、ピシャリと言い放った。
「いや、もう聖女ではない。新しい聖女はすでに現れたと報告を受けている」
エヴァンが、ぐっと言葉を吞み込んだ。
それから痣の消えたセシリアの手首に視線を移し、唇を噛みしめる。
そんなエヴァンに、エンヤード王が咎めるような視線を向けた。
「そもそもお前は、セシリアを見るからに嫌っていただろう。一緒にいるところなど見たことがないし、夜会にも別の令嬢を連れていたではないか。いくら聖女といえども、相性が悪くては、この先どうなるものかと私はずっと懸念していたのだ」
「それは――――」
エヴァンは何かを言いかけたが、そこでぐっと口を閉ざした。
紛れもない事実であり、返す言葉を失ったのだろう。
「王妃なら問題だったが、まだ婚姻前の身。王族の婚約破棄などままある話だ。とにかく我が国にとってこれほど好条件の話はない。デズモンド殿、セシリアを貴殿に授けよう。彼女の実家には、私の方から伝えておくゆえ、早々に用意をいたせ」
「ありがたきお言葉でございます。約束通り、後ほど我が国より、友好条約調印の流れを伝える者を派遣いたしましょう」
デズモンドはエンヤード王に向かって深々と頭を下げると、立ち上がり、セシリアに向けて手を差し出す。
「俺と一緒に来てくれるか?」
彼の正体があの悪名高き皇帝デズモンドだと知った今、セシリアは躊躇った。
ちらりとエヴァンを見やれば、見たこともないほど青ざめた顔で立ち尽くしている。
彼がセシリアを失ってショックを受けるはずがないので、突然の展開に動揺しているのだろう。
もしくは、悪名高き皇太子であるデズモンドを目の前にして、怯んでいるか。