9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
ひとたび戦場に出れば魔物のように次々と敵を惨殺。

現に彼の手によって、エヴァンは何度も死んだ。

これまでの人生、エヴァンを死に追いやった彼を何度も憎んできた。

信頼しろという方が難しい。

セシリアの身体には、デズモンドへの憎しみがすっかり染みついている。

(エンヤード王国を守るために彼については行くけど、絶対に心を許さないようにしましょう。他にも側妃がいらっしゃるでしょうから、そのうち忘れてくれるわ)

セシリアが密かなる誓いを胸の内で立てていると、後ろから頬を遠慮がちに撫でられた。

「痛くはないか?」

まさに彼への警戒心を強めた瞬間だったので、勝手に肩がビクッと跳ねる。

それから頬に触れる彼の手を振り払うように、顔を背けた。

「……もう、痛くはありません」

デズモンドはそんなセシリアの態度に気づいていないかのように、「そうか、それならよかった」と落ち着いて答えた。
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