9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「あ、あなたのような役立たずが聖女になるから、陛下がこんな目に遭ったのですっ……! 私は、私は何も悪くありませんっ……!」

髪は乱れ、口はガクガクと震え、目は血走っている。いつもの淑女然とした彼女からはほど遠いあり様だった。

ふたりきりのときに彼が事故で亡くなったとなると、故意であろうとなかろうと責任は彼女に降りかかるわけで、動揺するのも頷ける。

セシリアは、マーガレットをなだめるように言った。

「ええ、そうです。あなたは何も悪くありません」

予想外の返事だったのか、驚いたように、マーガレットが眉根を寄せた。

「悪いのは全部、陛下に愛されるような聖女ではない私なのです」

刃で胸を刺されるような思いで、セシリアは続けた。

(愛されることをあきらめても、こんなにもうまくいかないなんて。いったいどうすればエヴァン様を救えるのかしら?)
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