9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
――『この子が新聖女かね? 魔法も使えないとは嘆かわしい。どうしてダリス神はこのようなみじめな娘を聖女にお選びになったのだ』
――『え、嘘でしょ? 聖女なのに魔法が使えないの? 私の方がよほど聖女にふさわしいじゃない』
――『魔法も使えぬ聖女を、俺が婚約者と認めると思うか?』
繰り返し耳にした嘲りの言葉を思い出す。
魔法が使えないことで罵られるのは、慣れれば平気だった。
だが、そのせいでエヴァンの役に立てなかったことは、今でもつらい。
魔法を巧みに操れたら、戦地で死に瀕している彼を救えたかもしれない。
彼を死に至らしめた病気や事故を、防ぐことができたかもしれない。
苦肉の策でエヴァンを救うことができた今も、セシリアは悔しさで胸が苦しくなる。
唇を震わせていると、重ねられた手に力がこもった。
「それがどうした?」
男らしい響きの声がして、セシリアは再び正面に目を向ける。
――『え、嘘でしょ? 聖女なのに魔法が使えないの? 私の方がよほど聖女にふさわしいじゃない』
――『魔法も使えぬ聖女を、俺が婚約者と認めると思うか?』
繰り返し耳にした嘲りの言葉を思い出す。
魔法が使えないことで罵られるのは、慣れれば平気だった。
だが、そのせいでエヴァンの役に立てなかったことは、今でもつらい。
魔法を巧みに操れたら、戦地で死に瀕している彼を救えたかもしれない。
彼を死に至らしめた病気や事故を、防ぐことができたかもしれない。
苦肉の策でエヴァンを救うことができた今も、セシリアは悔しさで胸が苦しくなる。
唇を震わせていると、重ねられた手に力がこもった。
「それがどうした?」
男らしい響きの声がして、セシリアは再び正面に目を向ける。