9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
しかも、どんなに努力をしても、結局エヴァンに愛されなかった。

だが今セシリアは、デズモンドに褒められたことで、今までの努力が少しだけ報われたような気分になる。

重ねられた彼の掌に、自然と意識が向かっていた。

そのとき、後宮で井戸端会議をしていた妃たちの声が耳によみがえる。

――『ジゼル様は大魔導士エンリケ譲りの魔力をお持ちで、国内ではエンリケ様を除いて魔法で彼女の右に出る者はいないのだとか』

昂った心に、陰が落ちた。

役立たずのくせに、自分はいったい何を期待していたのだろう。

「でも私は、魔法が使えませんし……」

唯一使えた時空魔法も、もう使えない。

使えたとしても、デズモンドが知る由もないことだが。

幼い頃から自由自在に魔法を操った、義妹のジョージーナ。

火と水魔法の達人と称されているマーガレット。
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