9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
エヴァンと、新たな聖女であるミリス・アンジー・フォンターナの婚約の儀は、半年後に決まっている。

どんぐりのように大きな目をした、まだ六歳の幼女だ。ちらりと見ただけだが、あの少女と自分が添い遂げる未来など、微塵も想像できない。

それでも彼女が聖女としてこの時代に生まれた限り、この国のしきたりにあやかって、次期国王であるエヴァンの正妃に収まらなければならないだろう。

婚姻は、ミリスが十三歳になるまで待つとのことだが、さすがに十四歳も年が離れているのは気が乗らない。

(いや、たとえ年が近かったとしても、無理だ)

エヴァンの隣にいるのは、あのエメラルドグリーンの澄んだ瞳をした少女でなければならなかった。

何があろうと、彼女はエヴァンだけを愛し続けなければならなかった。

そういう宿命のもとに生まれた女だったはずだ。

(なのに、裏切った)
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