9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「それは興味深いですね。ですが、戦はもうしないつもりです」

「そうなのか? お前が即位したあかつきには、すぐに領土拡大に尽力すると思っていたが」

グラハムが、驚いたように目を瞠る。

「オルバンス帝国は、もう充分強大です。今後はひとりよがりなことはせずに、他国にも手を差し伸べ、和平的になるべきだと俺は考えています」

「なるほど、いい心がけだ。私も戦は苦手でね。お前とは考えが一致しているようでうれしいよ。皇帝という重責も担ってくれて、心より感謝している。私はどうも統治者というタイプではないからな」

ハハハ、とグラハムが爽やかに笑った。

 正妃の子として生まれ、幼い頃から次期後継者として帝王学を学んできたグラハムだったが、父皇帝が指名したのは側妃の子である三歳年下のデズモンドの方だった。
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