9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
つまり雲の上の存在だったエヴァンは、この世で唯一、セシリアだけのものになったのだ。

まるで夢のような日々だった。

絢爛豪華な城の中に住まい、エヴァンに毎日のように優しく声をかけてもらう。

ともに庭を散歩し、顔を寄せ合って同じ本を読む。

ランスロ―家でろくな教育を受けてこなかったセシリアにとって、正妃になるための教育は過酷だったが、エヴァンがいるなら頑張れた。

――エヴァン様のために、ちゃんとした妃にならなくちゃ。

寝る間を惜しんで勉学に励み、時間があったら書物を読んで、知識を蓄える。魔法が使えない分、勉強面で頑張るしかないと思っていた。

次第に頑張り屋の新聖女の噂が広まり、セシリアは、エンヤード城内で一目置かれるようになる。

だがちょうどその頃から、エヴァンの様子がおかしくなった。

セシリアを、露骨に避けるようになったのだ。
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