9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
少年に撫でられた頭が、熱を持ったかのようにジンジンしている。

これが初恋だと気づくのに、時間はかからなかった。

そしてその恋は、彼の正体がこのパーティーの主役――王太子エヴァンその人だと知るなり、儚くも終わりを迎える。

王太子など、セシリアにとってみれば、手の届かない雲の上の存在だからだ。

自分のような一介の子爵家、それも何の後ろ盾もなく、家族にも愛されていない娘が、到底肩を並べられる相手ではない。

だが、一年後のある日。

セシリアの左手首に、聖女の証である聖杯を象った青痣が浮かび、セシリアは新たな聖女として城に召し上げられる。

そしてあろうことか、王太子エヴァンの婚約者に指名された。

聖女を迎えた王は、側妃を迎えない決まりになっている。聖女だけを生涯特別大事にすることで、ダリス神に忠誠を誓い、国の繁栄を導くと信じられているからだ。
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