9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
エンヤード王国に比べると、文明も圧倒的に進んでいるようだ。

「なんて素敵な街なの……」

セシリアは、思わず感嘆の声を漏らす。

「君にそう言ってもらえて光栄だ」

デズモンドは満足げに言うと、ごく自然な流れで、セシリアの腰を抱いた。
 
ぐっと身体が密着する。セシリアの細腰に触れる手つきが妙に優しくて、羞恥を煽った。

(こんなの、まるで恋人同士みたい)

考えてみればセシリアは彼の側妃になる身だし、まるで幻だったかのようだが、一度は身体を重ねた者同士。

これしきのことで動揺するのはおかしいのかもしれないと、セシリアはどうにか平生を装うことに専念する。

一方のデズモンドは、相変わらず余裕の大人の態度なのが妬ましい。

しばらく進むと、屋台の立ち並ぶ大通りに出た。ひとつの屋台に、人だかりができている。

セシリアが見たことのないふわふわの菓子らしきものを販売しているようだ。
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