9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
おずおずと問いかけると、エヴァンは不本意というように眉根を寄せた。
「どうしてって、きれいなものをきれいと称賛するのは当然のことだろう? 君は本当に、改めて見ても――美しい。さすが、ダリス神に選ばれた聖女だ」
「……もう、聖女ではありません」
するとエヴァンは一瞬真顔になったあとで、何事もなかったかのようにゆるりと微笑んだ。
「ああ、そうだったね。それでも俺の中でだけ、君はまだ聖女だと思わせてくれ」
(エヴァン様は、いったい何をお考えになっているのかしら……?)
謁見の間へとエヴァンを案内する道中も、セシリアは混乱の極致にいた。
(しかも、『君はまだ聖女だ』だなんて……。新手のいじめ方かしら。これからとんでもないしっぺ返しを用意しているとか)
「どうしてって、きれいなものをきれいと称賛するのは当然のことだろう? 君は本当に、改めて見ても――美しい。さすが、ダリス神に選ばれた聖女だ」
「……もう、聖女ではありません」
するとエヴァンは一瞬真顔になったあとで、何事もなかったかのようにゆるりと微笑んだ。
「ああ、そうだったね。それでも俺の中でだけ、君はまだ聖女だと思わせてくれ」
(エヴァン様は、いったい何をお考えになっているのかしら……?)
謁見の間へとエヴァンを案内する道中も、セシリアは混乱の極致にいた。
(しかも、『君はまだ聖女だ』だなんて……。新手のいじめ方かしら。これからとんでもないしっぺ返しを用意しているとか)