9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
突然のエヴァンの来訪は、セシリアを大いに戸惑わせた。

なぜなら、彼が滞在中の多くの日程を、セシリアと過ごすからだ。

城案内から、友好条約の調印式、両国の親交を深めるための食事会、王城敷地内にあるユルスツク神殿の見学まで、目白押しである。

そもそもカインが来ると思っていたから、立てた計画だ。

エヴァンが来ると分かっていたなら、こんな予定は組まなかった。

だが決まったことなので、今さら覆せない。

セシリアは仕方なく、彼が滞在する一週間、ともに過ごす覚悟をする。

「こちらが、西棟でございます。政治の要となる場所で、私もほとんど立ち入ったことがございません」

「なるほど。どの建物も立派で、見惚れてしまうな」
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