9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
(そうか。私は今となっては、オルバンス帝国側の人間。友好条約を締結するのに、オルバンス帝国の人間である私に冷たくしていたら、外聞が悪いわ。だからエヴァン殿下は、私に優しくするフリをしているのね)

やがてセシリアは、自分の中でそう結論を出した。

それが、もっとも自然で、納得のいく理由だったからだ。

そして続く調印式と食事会も、やたらとセシリアに関わろうとするエヴァンに戸惑いつつ、大人の対応でやり過ごしたのである。


理解しがたい出来事は、もうひとつあった。

エヴァンと一緒にいるとき、城の中で、やたらとデズモンドに出くわすようになったのだ。

そもそもセシリアとデズモンドは、活動場所が異なるので、日中出くわすことがない。
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