9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
今日、エヴァンを王城敷地内にある神殿に案内すれば、見送り時以外、もう彼に会うことはない。

王城敷地内にある森の奥に、オルバンス帝国の国教であるユルスツク教の神殿は建立されていた。

石造りのゴシック建築で、ステンドグラスの色鮮やかな、小ぶりな建築物だ。

王族専用の神殿であり、本来は立ち入り禁止のため、普段はひっそりと静まり返っている。

小さいとはいえおよそ千年も前に建てられた歴史的価値のある建造物で、要人を招いた際はここに案内するのが習わしになっているらしい。

森の奥深く、木々に埋もれるようにしてある石造りの階段を降りれば、神殿が姿を現した。

石造りの戸を開ければ、ユルスツク神の壁画を祭った祭壇が目に飛び込んでくる。

ステンドグラスから色とりどりの光が床に降り注ぎ、静謐たる空気に包まれていた。

「これは美しい。ダリス教の教会とはまた違った美しさがあるな」
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