9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
神殿内に足を踏み入れたエヴァンが感嘆の声を漏らす。

彼の後ろに続くようにして、従者たちもぞろぞろと入り込んできた。

セシリアが従えている従者もいるため、小ぶりな神殿内はあっという間に満員になってしまった。

エヴァンが、困ったように肩を竦める。

「これでは、ゆっくりこの神殿の神秘を堪能することができない。しばらくの間、セシリアとふたりきりにしてくれないか」

エヴァンの突然の提案に、セシリアは面食らった。

この一週間、エヴァンと長い時を過ごしてきたが、いつも互いに数人の従者を従えていたため、ふたりきりになったことはない。

なんとなくの気まずさを覚え、「でしたら、私も出ていますね」と戸口に足を向けようとした。だが。

「君がいなくなったら、誰が俺にこの神殿を案内してくれるんだ?」

もっともな切り返しが返ってきて、セシリアは足を止めた。
< 293 / 348 >

この作品をシェア

pagetop