9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「セシリア様は下がっていてください」

言うなり、ベンジャミンは銀の瞳でグラハムを睨み据え、勢いよく手を伸ばした。

彼の掌から強烈な風が生まれ、突風となってグラハムに襲いかかる。

グラハムが手に持った魔道具の剣が、突風に煽られ、地面に転がった。

「うっ……!」
 
慌てたグラハムは、急いで剣を拾おうとするが、続いて轟音とともに地面がひび割れ、あっという間に魔道具の剣を呑み込んでしまう。

剣がすっかり見えなくなると、地面はまたギシギシとうごめき、何事もなかったかのように元通りになった。

「ああっ、剣が、私の剣が……っ! くそ……っ!」

剣が土の奥深くに埋もれ、手元に戻らないと判断するや否や、グラハムは懐から短刀を取り出し、デズモンドに襲いかかる。

だが瞬時に移動したベンジャミンは、素早く彼を後ろから羽交い絞めにした。

「くそっ、離せ! あいつを殺すんだ!」
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