9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
(間違いないわ、ループしたのね。でも私、どうして生きているの?)

腕も足も、時空魔法を使う前と何ら変わりがない。

いったい何が起こっているのか分からず、ひたすら困惑しているうちに、駆け出したデズモンドがエヴァンの鼻先に剣を突き付けた。

覚えのあるその場面を目の当たりにして、セシリアはサッと顔を青くする。

(呆然としている場合じゃないわ! 早くグラハム様を探して魔道具の剣を奪わないと!)

我に返り、茂みの方へと駆け出す。

だがすでに時遅く、グラハムが魔石のはめ込まれた剣を掲げてデズモンドの方に迫っている最中だった。

セシリアのいる位置からは距離があり、ドレスの足ではとてもではないが間に合いそうにない。

(どうしよう、せっかくループできたのに……!)

そのとき、目の前にスッと差し出された腕が、セシリアの動きを抑制する。

黒いローブの袖――ベンジャミンだった。
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