9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
それからセシリアは、ハッと目を見開いた。

肝心なことを思い出したのだ。

「でしたら、先ほどの時空魔法も――」

セシリアの震え声に応えるように、今度はベンジャミンはニコッと無邪気に微笑んだ。

(ああ、そうなのね。時空魔法を使ったのは、私ではなくベンジャミン様だから、私はこうして生きているのね)

すべての魔法を使いこなす聖人であれば、当然のことながら時空魔法も使えるだろう。

だから今回のループで、時空魔法の限界回数を超えても、セシリアは死ななかったのだ。

そしてベンジャミンの肩に触れていたから、一緒に数刻前にループした。

セシリアとベンジャミンがわずかなループを経験してここにいることを、デズモンドは知らない。

だがふたりのやり取りから、何が起こったのか勘づいたのか、深刻な眼差しをベンジャミンに向けていた。
 
デズモンドの前に、ベンジャミンがおもむろに膝をつく。
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