9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「デズモンド様、これまで黙っていたことをお許しください。聖人が皆そうであるように、僕は、自分の力を人には誇示したくなかったのです。ユルスツク神に与えられたこの力は、あなたをお守りするためだけの力だと思っていますから」

いつものお調子者の彼とは、まるで雰囲気が違った。

それこそ、壁画で見たユルスツク神のそばに侍る聖人のごとく、清廉な顔つきをしている。

「僕が自分が選ばれし者であることに気づいたのは、まだ子供の頃でした。僕は一生を捧げる主を決めるために、わざと非力な者のフリをし続けていました。そして非力な僕に唯一手を差し伸べてくれたあなたを、一生の主と決めたのです」

「そうか」

デズモンドはひと言そう答えたあと、跪くベンジャミンの黒いフードの頭に掌を置く。

それから、口元に微笑を浮かべた。

「ずっと、俺を守ってくれていたのだな。心より感謝する」
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