9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
六度目の人生では、少しでも魔法が使えるよう、修行に奮闘した。エンヤード王国一の代魔導士に倣い、厳しい魔法修行の旅にも出た。

絶え間ない努力の末、魔法に関する知識がかなり深まる。

時空魔法の発動の限界が、おそらく十回だということを知ったのも、この人生のときだった。

だがどんなに修行を重ねても、セシリアは目に見える魔法を使えるようにはならなかった。

簡単な火起こし魔法ですら、まったく発動させられない。

魔法の才覚がない者でも、修行を重ねれば、火起こし魔法なら使えるようになるといわれているのに……。

修行に出ている期間が長かったので、この人生ではあまりエヴァンと関わる機会がなかった。

それなのに、どういうわけか彼のオルバンス帝国への侵攻は防ぐことができた。
だが喜んだのも束の間、エヴァンは二十七歳のとき、疫病で死んでしまう。
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