9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
それからセシリアは、エヴァンに愛されるよう、懸命に努力を重ねる。

五度目の人生では、彼の役に立てるよう、学問に勤しんだ。

あらゆる賢人に倣い、書物を読破し、政策に関わる知識を蓄え、疎まれながらも議会にも参加して、積極的に発言した。

もしものときは自分で身を守れる強い后でいられるよう、武術も学んだ。

結果、並みの男であれば易々と倒せるくらいまでに上達した。

ところがエヴァンに愛されるどころか、彼との距離はますます開いていった。

不貞ばかりを働いているとそのうち神の怒りに触れると、それとなく彼の悲しい未来を示唆したが、『役立たずの聖女のくせに余計な口出しをするな!』と怒鳴られるだけに終わった。

そのうえ、オルバンス帝国への侵略も防げなかった。

結果、エヴァンは二十五歳で戦死。
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