9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
急に無口になった彼を見ていると、セシリアはいたたまれない気持ちになる。

(デズモンド様の支えになりたい)

そんな渇望が、胸を突き破るようにして込み上げてきて、セシリアはデズモンドの右手を向かいからぎゅっと握り締めた。

「大丈夫です。何があろうと、私があなたをお守りします」

願望ではない。

絶対にそうしてみせると、胸の中で誓う。

デズモンドは顔を上げ、澄んだエメラルドグリーンの瞳に強い意志を宿しているセシリアを見つめた。

それからフッと、口元をほころばせて笑う。

「そうだな。今の俺には君がいる」

「はい」

セシリアも、デズモンドと目を合わせてニコッと微笑んだ。

すると、重なったセシリアの掌に、デズモンドが力をこめた。

「ひとつ、君に頼みがある」

「何でしょう?」

「今から君を抱きたい」

不意打ちで放たれた大胆な発言に、セシリアは、カアッと耳まで真っ赤になる。
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