9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
原因は、間違いなく今目の前にいるこの男だろう。
今まで女を一切寄せ付けなかったのが嘘のように、あれほど彼女を溺愛している彼のことである。
きっと歯止めがきかなくなっているはずだ。
ベッドの中では、戦場と同じく獣と化しているに違いない。
(デズモンド様がさらに閨事の知識を得たら、セシリア様は悦ぶどころか疲労困憊するのではないだろうか)
そんな疑念を抱き、じっとデズモンドを見つめてしまう。
ベンジャミンの意味深な視線に気づいたデズモンドが、晴れ晴れとした顔のまま聞いてきた。
「どうかしたか?」
「いいえ、なんでもございません。図書館主に相談して、えりすぐりの本をご用意いたします」
ベンジャミンは極上の笑みでかぶりを振った。
セシリアのことは心配だが、やはりベンジャミンにとってはデズモンドの方が大事だ。
少年の頃から彼だけを見てきて、彼のためだけに生きてきた。
この先も死ぬまで彼を守り抜くと誓った。
それが聖人としてこの国に生を授かったベンジャミンの使命なのだから。
(お許しください、セシリア様)
「なんだか妙な笑顔だな。何を考えている?」
「いえいえ、相変わらずラブラブだな~と思いまして」
呑気に答えながらも、ベンジャミンは胸がいっぱいだった。
彼の幸せのために、これまで人知れず尽力してきたからだ。
殊に、今から十八年前。デズモンドの母のエロイーズ妃が亡くなった直後。
ある日突然地獄に突き落とされたあの日のことを、ベンジャミンは鮮明に覚えている。
あのときのことを、これまでベンジャミンは誰にも口外したことがなかった。
自分が聖人であるのと同様、頑なに秘密にしてきたが、この頃はときどき思い出すことがある。
セシリアが、時空魔法の使い手だと知ったからだろう。
グラハムが不埒な真似でデズモンドの命を奪ったあの日、永遠の忠誠を誓った主を救うために、ベンジャミンは時空魔法を発動した。
だが実は、ベンジャミンがデズモンドを時空魔法で救ったのは、あのときが初めてではなかったのだ。
今まで女を一切寄せ付けなかったのが嘘のように、あれほど彼女を溺愛している彼のことである。
きっと歯止めがきかなくなっているはずだ。
ベッドの中では、戦場と同じく獣と化しているに違いない。
(デズモンド様がさらに閨事の知識を得たら、セシリア様は悦ぶどころか疲労困憊するのではないだろうか)
そんな疑念を抱き、じっとデズモンドを見つめてしまう。
ベンジャミンの意味深な視線に気づいたデズモンドが、晴れ晴れとした顔のまま聞いてきた。
「どうかしたか?」
「いいえ、なんでもございません。図書館主に相談して、えりすぐりの本をご用意いたします」
ベンジャミンは極上の笑みでかぶりを振った。
セシリアのことは心配だが、やはりベンジャミンにとってはデズモンドの方が大事だ。
少年の頃から彼だけを見てきて、彼のためだけに生きてきた。
この先も死ぬまで彼を守り抜くと誓った。
それが聖人としてこの国に生を授かったベンジャミンの使命なのだから。
(お許しください、セシリア様)
「なんだか妙な笑顔だな。何を考えている?」
「いえいえ、相変わらずラブラブだな~と思いまして」
呑気に答えながらも、ベンジャミンは胸がいっぱいだった。
彼の幸せのために、これまで人知れず尽力してきたからだ。
殊に、今から十八年前。デズモンドの母のエロイーズ妃が亡くなった直後。
ある日突然地獄に突き落とされたあの日のことを、ベンジャミンは鮮明に覚えている。
あのときのことを、これまでベンジャミンは誰にも口外したことがなかった。
自分が聖人であるのと同様、頑なに秘密にしてきたが、この頃はときどき思い出すことがある。
セシリアが、時空魔法の使い手だと知ったからだろう。
グラハムが不埒な真似でデズモンドの命を奪ったあの日、永遠の忠誠を誓った主を救うために、ベンジャミンは時空魔法を発動した。
だが実は、ベンジャミンがデズモンドを時空魔法で救ったのは、あのときが初めてではなかったのだ。