9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
地味なダークネイビーのワンピースドレス姿で、近衛兵が見ていない隙にセシリアは正門を抜ける。

そして、向かいにある植え込みに身を隠した。

「今、人の足音が聞こえなかったか?」

近衛兵のひとりが違和感を察したようで、セシリアは植え込みの中でヒヤッとする。

だが。

「にゃあ」

タイミングよく猫が茂みから現れ、「なんだ、猫か」と近衛兵たちの意識がそちらに移って、事なきを得る。

「かわいいな、黒猫か」

「雄かな、雌かな」

(猫さん、ありがとう)

セシリアは心の中で猫に礼を言うと、近衛兵に見つからないよう、植え込みの中を這い進んだ。

ようやく人の多い場所にたどり着いたのは、ずいぶん経ってからのことである。

エンヤード城は丘の上にあるため、暗がりの中丘をくだるのに時間がかかった。

だが、丘のふもとにすぐ街が広がっているのは幸いだった。
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