9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
倒れかけたセシリアの身体を、腕を伸ばした男が受け止める。
「大丈夫か?」
がっちりとした腕に包まれていると、また不思議な安心感に包まれた。
会ったばかりの人にこんなにも親近感を抱くなど、自分はどうかしてしまったのだろうか?
「よかったら家まで送ろう。この国の地理は詳しくないが、案内してくれたらどうにかなるだろう」
すぐ耳元で男らしい声がして、セシリアはピクッと肩を揺らした。
今目の前に、男という生き物がいることを思い出したのだ。
それも、後腐れのない、外国からの旅行者。
聖女の証を消してくれる、理想の男――。
「あの……」
男の腕の中で、セシリアは声を振り絞った。
「あなたにお願いがございます」
「どうした?」
「私を、抱いてくれないでしょうか?」
男の身体が硬直した。
彼を取り巻く空気も、一瞬静止したように思う。
しばしの沈黙の後、男が困惑気味に言う。
「大丈夫か?」
がっちりとした腕に包まれていると、また不思議な安心感に包まれた。
会ったばかりの人にこんなにも親近感を抱くなど、自分はどうかしてしまったのだろうか?
「よかったら家まで送ろう。この国の地理は詳しくないが、案内してくれたらどうにかなるだろう」
すぐ耳元で男らしい声がして、セシリアはピクッと肩を揺らした。
今目の前に、男という生き物がいることを思い出したのだ。
それも、後腐れのない、外国からの旅行者。
聖女の証を消してくれる、理想の男――。
「あの……」
男の腕の中で、セシリアは声を振り絞った。
「あなたにお願いがございます」
「どうした?」
「私を、抱いてくれないでしょうか?」
男の身体が硬直した。
彼を取り巻く空気も、一瞬静止したように思う。
しばしの沈黙の後、男が困惑気味に言う。