9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
後継者であれば父について戦場に行くなど言語道断だが、その頃は誰しもが兄が後継者になるものと思い込んでいた。

だからデズモンドは、思う存分戦場を駆けずり回ることができたのである。

そして剣技の才と強靭な体力を、敵味方双方に見せつけた。

そのうち、実戦だけでなく、戦略にも興味を持つようになった。

あらゆる軍事関係の書物を読破し、父について政治や戦略会議に関わるうちに、類まれなる才能を遺憾なく発揮するようになる。

父がデズモンドの才に目をつけ、兄を差し置いて正式に次期後継者に任命したのは、三年前のことだ。
 
高齢の父は来年退位し、デズモンドは一年後に即位する。

即位後も結婚はせず、後継者作りは兄に任せるつもりだった。

後宮になど、立ち入るのもごめんだ。

だが。

『皇帝になったら自由に旅行もできないですからね。今のうちに諸外国の観光名所は網羅しといた方がいいですよ。まずは、エンヤード王国なんかどうです? 王都にあるダリス神の彫像は、それはそれは見事ですよ。あとエンヤード王国は、酒が美味なんです! 酒場巡りもおすすめです』

ベンジャミンの口車に乗せられて出た旅で、まさか女を抱くとは思ってもいなかった。
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