9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
(セシリアが死んだ? そんな――)
背中まで伸びた波打つ胡桃色の髪に、白い肌、華奢な身体。
エヴァンの機嫌をうかがうように、上目遣いでこちらを見上げるエメラルドグリーンの瞳。
哀れになるほど存在感の薄い彼女の姿が脳裏に浮かぶ。
首を絞められるような感覚がした。
「……セシリアの様子は、見に行ったのか?」
急病など、夜中に異変があれば、侍女がすぐに知らせるはずだ。
(ああ、だがセシリアの侍女は、ろくに彼女の世話をしていなかったから……)
婚約破棄を口にされたとき以上の衝撃に襲われ、エヴァンは息をするのもやっとだった。
すると侍従長が、思いもしなかったことを口にする。
「セシリア様は、生きていらっしゃいます。先ほど城にお戻りになられました」
「……は? なぜだ? どうなっている? 城に戻ったとは、今朝まで出かけていたということか?」
すると、扉の向こうがまた騒がしくなった。
背中まで伸びた波打つ胡桃色の髪に、白い肌、華奢な身体。
エヴァンの機嫌をうかがうように、上目遣いでこちらを見上げるエメラルドグリーンの瞳。
哀れになるほど存在感の薄い彼女の姿が脳裏に浮かぶ。
首を絞められるような感覚がした。
「……セシリアの様子は、見に行ったのか?」
急病など、夜中に異変があれば、侍女がすぐに知らせるはずだ。
(ああ、だがセシリアの侍女は、ろくに彼女の世話をしていなかったから……)
婚約破棄を口にされたとき以上の衝撃に襲われ、エヴァンは息をするのもやっとだった。
すると侍従長が、思いもしなかったことを口にする。
「セシリア様は、生きていらっしゃいます。先ほど城にお戻りになられました」
「……は? なぜだ? どうなっている? 城に戻ったとは、今朝まで出かけていたということか?」
すると、扉の向こうがまた騒がしくなった。