9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
エヴァンがセシリアを避けることによって、セシリアの悪評が立ち、結果エヴァンの評価が高まったようだ。

それに味をしめ、エヴァンのセシリアに対する態度はますます辛辣になっていく。

『役立たずの聖女め』

『近寄るな。お前のような者になど、触れたくもない』

エヴァンの態度に乗っかるように、周囲もセシリアを冷遇していった。

そのうち、セシリアに話しかける者はいなくなっていた。

侍女や侍従、神職者ですら、彼女を遠巻きに見て卑下している。

セシリアはというと、エヴァンに避けられ、目に見えて落ち込んでいた。

最初の頃は必死に話しかけたり、近くに寄ってこようとしたりしたが、エヴァンはすげなくあしらった。

そのうち寄り付かなくなったが、エヴァンとすれ違うたびに切なげな視線を送ってくる。エヴァンに愛されたくて仕方がない眼差しだ。

セシリアに懸命に愛を乞われている状況は、悶えるほど快感だった。
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