9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
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門前にのこのこと姿を現したセシリアは、すぐに血相を変えた近衛兵に捕らえられ、最高司祭のもとに連れて行かれた。
城内に与えられている彼の部屋はセシリアの部屋よりもはるかに広く、ダリス神の彫像を祭った厳かな祭壇もある。
最高司祭の背後には、彼の部下である神官たちがズラリと控えていた。
「生きておったのか。新聖女様が現れなさったから、てっきりどこかで野垂れ死んだかと思っていたものを」
最高司祭は、まるで化け物を見るようにセシリアを見た。
高慢で、権力に懐柔される性質のこの最高司祭は、セシリアが聖女になったときから粗悪な態度だった。
才色兼備の妹のジョージーナと違って評判が悪く、魔法すら操れないセシリアを、心底軽蔑しているのはずっと肌で感じていた。
(よかった。早くも聖女の証を伝聖した方が名乗り出たのね)
最高司祭の言葉に、セシリアはホッと息をつく。
本当に伝聖が起こったのかそれまで半信半疑だったものが、確信に変わったからだ。
これで、セシリアの役目はすべて終わりだ。