9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
エンヤード王国に聖女を絶やすことなく、エヴァンの命を救えた。

最後のループ人生で、やるべきことを成し終えた。

そんなセシリアの左手首を、司祭は乱暴につかむ。

そして、かつて青い聖杯の痣があったその場所に何もないことを確認すると、みるみる侮蔑の眼差しを浮かべた。

「この、男狂いの恥知らずが!」

汚らわしいものを振り払うように、セシリアは乱暴に体を押され、大理石の床に倒れ込んだ。

激しく腰を打ち、痛みで顔を歪めたが、そんな彼女を助けようとする者はひとりもいない。

最高司祭と同じく、侮蔑的な目でセシリアを見下ろしているだけだ。

「捕らえて地下牢に連れて行け!」 

乱暴に立たされ、引きずられるようにして部屋から追い立てられる。

それでもセシリアの心は、すべてが終わったという安心感でいっぱいだった。
< 99 / 348 >

この作品をシェア

pagetop