若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
そして次の日から、マリーとトムとの穏やかな生活が始まった。
朝食は、二人で一緒に作り、一緒に食べる。
マリーが洗濯をしている間に、トムは、飼っているロバや鶏の小屋の掃除と餌やりをする。
それが終わると二人で仕事に取りかかる。
トムの仕事は主に薪を作ることだった。
トムの家のすぐ横には、薪にするために用意された、たくさんの丸太が所狭しと積み上げられていた。
トムはそこから丸太を取ると、斧を振り、老人とは思えないほどの手際の良さで、どんどん丸太を割っていった。そして、出来上がった薪をマリーが縄で10本ずつ束にして縛っていく。
その作業が終わる頃には、昼になっており、また二人で昼食を作って食べる。
午後からは、村まで薪を売りに行くこともあれば、二人で川に釣りに行ったり、木の実などを取りに行くこともあった。そして毎週日曜日には二人で教会の礼拝へ行き、礼拝の後には、決まってマリーは孤児院の子供たちやリリアンと楽しく過ごした。
トムとは狭い台所で二人で食事の用意をしていると、たまに肩がぶつかったりすることがあったり、釣りに行った時も、釣り竿を持つ時に手が触れ合うということもあったが、マリーにとっては夫婦というよりも、ずっと前から一緒にいる家族に近いような気がしていた。
トムは決して、マリーが嫌がる事を言ったりしたりするようなことはなかった。すぐに二人は打ち解けた。トムはマリーに男女としての関係を求めてくるようなこともなかったので、マリーには夫婦という自覚はなかったが、トムと過ごす穏やかな日々に、幸せを感じていた。
ただ、トムはマリーとの結婚のために、金貨5枚という大金を払っている。トムの優しさに甘え、マリーはトムと夫婦らしいことを一切することがない。マリーにはそのことがとても重くのしかかっていた。マリーはそのことがとても申し訳なく、日曜の礼拝の後、思い切ってリリアンに相談した。