若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
「というわけで、隣の国の魔女にかけられた呪いが、マリーさんのおかげで解けたんです。」
「話は分かりました。でも、やっぱり、王子とか呪いとか、にわかには信じられません。ごめんなさい。」
「いえ、しょうがありません。ただ、私とトムが同一人物だということは分かって欲しい。そして叶うなら、あなたと正式に結婚したいと思っています。」
と青年は言った。その言葉を聞いて、マリーは、
「頭では分かっているんです。あの状況ではどう考えてもトーマスさんはトムさんだと・・・。でも気持ちが追い付かなくて・・・。」
「いくらでも待ちます。とりあえず、今まで通りここで一緒に暮らしてもいいですか?その上で、結婚については改めてお返事をいただければ。」
「あの、王子様なら、一刻も早くお城へ戻られた方が・・・それに、私とは身分が違い過ぎます。結婚の話はなかったことに。もちろん、金貨5枚は一生懸命働いてお返しします。」
「身分の話は今はおいておいて。お金は返さなくて大丈夫です。その代わり、私にチャンスをください。呪いが解けたということはお互いの気持ちは同じはずです。マリーさんが私をトムだと認めてさえくれれば、話は簡単なんです。しばらく一緒に暮らしてもらえないでしょうか。」
マリーは少し考えてから、
「・・・分かりました。そもそもここは私の家ではなくトムさんの家です。住まわせてもらっている立場で私がどうこう言うことは出来ません。」
と返事をした。
トーマス王子は満面の笑みで、
「ありがとう!」
と、言った。
マリーはその笑顔を見てとても複雑な気持ちになった。
トーマスさんはトムさんとは似ても似つかない美青年である。おまけに体格もしっかりしていて、まさに王子様そのものである。
彼と目が合うだけで、マリーはドキドキしてしまうのだ。こんな素敵な人に求婚され、こんな状態で、これから一緒に暮らしていけるのだろうか、と不安になっていた。