若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
トーマス王子が連れてきた村の医者は、マリーの診察を終えると、難しい顔をして首を横に振りながら、
「大変申し訳ないが、私が持っている薬では治せない。ただの風邪じゃなさそうだ。早くしないと命に関わる。一刻も早く大きな街の医者に診てもらった方がいい。」
と、言った。
「分かりました。今日はありがとうございました。」
と、トーマス王子は丁寧にお礼を言った。
医者を見送ると、トーマス王子は、すぐに玄関扉の横の木の枝に、白い布を結んだ。
程なくして、玄関扉をノックする音がした。
コンココココン
普通のノックの音とは明らかに違っていた。
トーマス王子は、そのノックの音を聞くなり、確認もせずすぐに扉を開け、訪ねてきた男を家に招き入れた。
家に入ると、男は目深に被っていたフードをあげ、
「殿下、お呼びでしょうか?」
と言った。訪ねてきたのは、トーマス王子が城で暮らしていた時の従者だった。
「頼みたい事がある。彼女を城の医者に診せたい。」
従者はその言葉に、ぱっと表情が明るくなり、
「城に戻る決心がついたのですね!」
と言った。