若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした

トーマス王子とマリーの唇があと少しで触れ合う寸前のところで、動きはピタリと止まった。

「ダメですよ、マリーさん。簡単に許しては。私のことをトムと認めて好きになってからじゃないと。」

マリーは、顔から火が吹き出そうなくらい恥ずかしくなった。突然のことに驚いたが、一瞬トーマス王子になら、このまま唇を許してもいいと思ってしまっていた自分にとても恥ずかしくなった。

トーマス王子は、そのままぐいっとマリーを抱き上げると、再び寝台に寝かせた。

「とりあえず、しっかり休んでください。」

「いえ、そういうわけには…。私、帰ります。」

「ダメです。帰しません。私はあなたを愛しています。私との結婚のこと、前向きに考えていただけませんか?出来ればすぐにでもあなたを自分のものにしたいくらいですが、あなたに嫌われたくない一心でずっと気持ちを抑えてきました。でもあの家で二人きりだと、気持ちを抑えるのももう限界に来ていました。ここなら人も多いので私もそうそうマリーさんに手出し出来ませんから、その点は安心してください。ゆっくりでいいので、結婚のこと、よく考えてください。」

「…とても有り難いお話しですが、私には無理です。身分が違いすぎます。」

「身分?では、断る理由は身分差だけですね。それさえなければ、結婚しても構わないと言うことですか?」

「え?えっと…その…はい。」

と、トーマス王子の勢いに、マリーは頬を赤らめ、俯きながら返事をした。

「分かりました。」

と、トーマス王子は少し笑みを浮かべながらそう言うと、足早に部屋を出て行った。
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