若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
マリーはトーマス王子の手を借り馬車から降りると、すぐに花畑へ駆け出した。

小鳥がさえずり、花畑には蝶々も舞っていた。マリーは、花の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

「はぁ~。気持ちいい。」

と、マリーが言うと、トーマス王子も、優しい眼差しでマリーを見つめていた。

騎士達も馬を休め、皆で休憩を取った。



「そろそろ出発しようか。」

と、花を見て回っていたマリーにトーマス王子が声を掛けた。
マリーが、

「はい。」

と、返事をして馬車に戻ろうした時、

ビュッ

と、マリーの前に強い風が吹いた。マリーは思わず手で目を庇った。
次の瞬間、つむじ風と共に花びらが舞い、

「お久しぶりね。トーマス王子。」

と、声がし、振り返るとビーナと魔女が姿を現した。

トーマス王子は咄嗟にマリーを自分の背後に隠した。そのトーマス王子の態度にビーナは笑いながら、

「オホホホホッ。その女ね。分かりやすくて助かるわ。せっかく赤ん坊の頃に誘拐させて隠したのに見つかってしまうなんて。しぶとい女ね。」

と言った。

「やはり、誘拐させたのは君だったのか…。」

と、トーマス王子が言った。

騎士達もビーナと魔女に気づき、すぐに剣を抜き構えると、二人の周りを取り囲んだ。しかし、ビーナは臆することなく、

「トーマス王子、こんな女より私と一緒になった方が絶対に幸せになれるわ!」

と言った。

「本当にあなたという人は、どうして分からないんだ。私が愛しているのはあなたではない!私はあなたと一緒になる気はない!何が起きても!」

と、トーマス王子はビーナに向かって言い放った。

ビーナはその言葉を聞いて、唇を噛み眉をひそめると、

「ウィニー!やってちょうだい!」

と言った。魔女のウィニーは、

「かしこまりました。」

と言うと、杖を振り、赤い光の矢をマリーに向けて飛ばした。咄嗟にトーマス王子がマリーを庇うように抱きしめた。
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