若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
赤い光の矢は形を変え、丸く大きくなり、しゃがみ込んだ二人を包み込んだ。
二人を包んでいた光は徐々に小さくなり薄れていった。

「オホホホホッ!」

ビーナの高い笑い声が響いた。

騎士達は、何も出来ず、剣を握ったままただ見守るしかなかった。

光が消え、トーマス王子とマリーがゆっくりと立ち上がった。

「どういうこと!?ウィニー!?」

と、ビーナが叫んだ。

トーマス王子とマリーの身には、何ひとつ変化は起きていなかった。

魔女のウィニーがゆっくりと口を開いた。

「その女には、確実に老女になる呪いをかけましたが、王子の愛により一瞬で解かれてしまいました。」

「何ですって!?」

「どんな姿になろうとも愛し続ける強さと覚悟があったようです。」

「そんな…。じゃあすぐにでも他の呪いをかけて!!」

「1度呪いをかけた相手に再び呪いをかけることは出来ません。」

と、魔女のウィニーが言うと、ビーナは膝から崩れ落ちた。

その隙に騎士達がビーナを捕らえた。

しかし、すぐに魔女のウィニーが小さな竜巻を起こし、騎士達を次々と弾き飛ばした。

魔女のウィニーがビーナの側に立ち、トーマス王子達に向けて再び杖を振り上げた瞬間、

「ウィニー!そこまでだ!」

と、低く響く声がした。ウィニーはすぐさま手を止め、片膝を着き、その声の主に敬意を表した。

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