しづき
心臓がはやくなる。呼吸が荒くなる。
うるさく鼓動する場所を必死に押さえつけた。
「…ぼくはね、汐月が苦しんでいるのをこれ以上見たくないんだ。このままいけばきっと…
汐月はホントーに死んじゃう」
その声音は私の苦しみを代弁しているようだった。
まるで同じ思いを味わったかのように。
すると男は「だからさ」と体ごとこちらに向ける。
「1ヶ月、汐月の時間をぼくにちょーだい」
あまりに突然の言葉。
つい「え」と素っ頓狂な声が漏れてしまった。
「汐月が死なないよーに、このぼくがめいっぱい愛してあげる」
男はふんわり笑う。