しづき



人影の全貌が視界におさまる。



全身黒ずくめの男。
髪すら真っ黒な彼は、鬱陶しげに顔を歪めていた。



「うるせーな
寝起きからやかましーんだよお前」



男は舌打ちをすると、なんの躊躇いもなくベッドの上にあがってきた。



「ちょっ、こないで!」



私が声を上げても当たり前のように無視し、追い込むように手首を掴まれてしまった。



力が強くて振りほどくことができない。



「やだっ、助けて…白っ、白!」

「うるせーっての。あいつのこと呼ぶな」

「やっ!…んぅ」



口の中に指を突っ込まれる。
深く侵入してきて、私の舌をなぞられた。
気持ち悪くてえづきそうになる。



「…よし、いいこだ。
おとなしくしてくれ。時間が無い」



黙った私に、口調が優しくなる男。



依然、得体の知れない恐怖は消えない。


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