しづき






地下で過ごす日々が続いて



今日もベッドの上では何気ない時間が流れていた。



「しづきー」


「なんですか?」



白に抱きしめられて、頬や胸元にキスを繰り返される。



そんな行為がどうしようもなく愛おしかった。



「愛してるよ」


「どうも」


「汐月は愛してるって言ってくれないの?」


「嘘の言葉が欲しいんですか」


「ひどい。ぼくのこと嫌いなら抵抗するくせに」



くちびるを尖らせながらも、だからといって私に触れなくなるみたいないじわるはしてこないのが白のいいところ。



おおかた私に触れていないと落ち着かないだけなんだろうけどね。



そっと梳かれる髪。
監禁されてから少しは伸びたかな。



「汐月はだれのもの?」


「私は私のものです」


「不正解。ぼくのだよ」


「……」




「あと2日だね」




ぽつり

おまけのように呟かれた言葉。



この部屋は本当に音が存在しない。



私と白の息づかいだけが聞こえて、もちろん、さっきの言葉もよく通った。


< 257 / 312 >

この作品をシェア

pagetop