【コミカライズ】Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜
 エレベーターが八階に到着し、恵介は部屋へと向かう。

 今の瑞穂に脅しのような言葉を使うことは、本当は良くないことだとわかっていた。それでもあの男の元へ戻してしまえば、もう瑞穂をあの家から引き剥がすことは無理な気がした。

 母親を引き合いに出せば瑞穂が諦めることはわかっていた。心の中で母親に頭を下げつつ、この後のことを考えなければいけない。

 ドアにカードキーを挿して扉を開ける。部屋の中は誰かがいるとは思えないほど静かだった。

 恵介が慌てて部屋に入ると、ベッドに横になって寝息を立てている瑞穂が視界に入り、ホッと胸を撫で下ろした。

 机の上にたくさんの紙袋を置くと、瑞穂が寝ているベッドにそっと座る。それから瑞穂の髪を撫で、頬に触れる。目の下には隈があり、夜も眠れていないことを連想させた。

 どうして実家に帰ろうとしなかったんだ……そう問いかけるが、理由は先ほどの瑞穂との会話で十分過ぎるほどわかっていた。

『私がいけないの……仕事もしないで家にいるくせに、家事を完璧にこなせないから……。だから疲れて帰って来たあの人を怒らせちゃう』

 仕事もしないで家にいる《《くせに》》ーーこれはきっと夫に言われた言葉なのだろう。瑞穂を認めず、自分の支配下に置こうとする言葉のDVだ。昔はあんなに謝ることはなかった。
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