Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜
* * * *

 風呂から出た瑞穂は、恵介が誰かと電話で話しているのを見て困惑した。崇文に連絡をしているのだと思い、胸が苦しくなる。

 だがすぐに笑い声が聞こえてきたため、勘違いだったと気付きホッと胸を撫で下ろす。

 その時、瑞穂の姿に気付いた恵介が手招きをしたのだ。それからスマホを瑞穂に手渡す。誰との電話かもわからず、おどおどしながらスマホを耳に当てた。

「も、もしもし……?」
『あらっ! 瑞穂なのね!』

 それは大好きな母親の声だった。

『もうっ、ずっと連絡寄越さないんだから! 恵ちゃんが会いに行ってくれなかったら、きっと連絡ないまま一生を終えていたわよ』
「うん……ごめんなさい……」
『どう? 元気なの? ちゃんとご飯も食べてる?』
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
『それならいいの。遠いのはわかるけど、時間見つけて家にも顔を出しなさい! わかった?』
「うん、わかった」
『私はあんたのお母さんなんだからね。いつでもずっと心配してるのよ!』
「うん……」

 涙が溢れ、次の言葉がなかなか出て来ない。恵介は瑞穂の手からスマホを受け取ると、彼女の頭を撫でながら抱き寄せる。

 なんて温かいんだろう……人肌ってこんなに優しかったっけ……。恵介の香りに包まれ、力が抜けそうになる。

「はいはい、わかってるよ……うん、じゃあね」

 会話を終えた恵介は疲れたように苦笑いをすると、スマホを机の上に置いた。
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