Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜
恵介といると、実家にいた頃から結婚前までの当たり前を思い出せる。そして今と比べて、あまりにも違う現実に愕然とする。
崇文との結婚生活は私が望んでいたものになった? これは思い描いていた家族の形? 瑞穂は目を伏せて俯くと、首を横に振った。
「瑞穂?」
ハッとして顔を上げると、恵介が心配そうに顔を覗き込んでいる。
「あっ、ごめんなさい! ぼーっとしてた……」
そこへ味噌煮込みうどんが運ばれ、二人の前に置かれる。熱々の湯気が上がり、香ばしい匂いにお腹が鳴った。
「おっ、本場の味噌煮込みうどん! 名古屋の食べ物って俺好みなんだよね。瑞穂はよく食べたりする?」
「うーん……実はあんまり……基本外食はしないし、友達もみんな働いてるか、子供が産まれて忙しかったりするしね……」
「じゃあ今日は好きなものを思う存分食べていいからね」
「うふふ。そんなに食べられないってば。味噌煮込みうどんだけで十分ですよー」
そんなやりとりをしながら、瑞穂は一口食べると目を輝かせる。
「美味しい……」
久しぶりに食べたからだろうか。昔食べた時よりも美味しく感じる。瑞穂の嬉しそうな顔を見て、恵介も頬が緩むのを感じた。